合理的は望ましい??パレート最適とナッシュ均衡2

それでは、ルパンと次元が直面した状況をもう一度見てみよう。

35

ここで、起こりうる4つの結果をグラフにしてみよう。

すると次のようなグラフになる。

40

このグラフでは、右に行くほどルパンは刑期が短くなり、ルパンはハッピーになる。そして上に行くほど次元は刑期が短くなり、次元はハッピーになる、ということを表している。

つまり、右上に行けばいくほど、お互いがハッピーになるということだ。では上のグラフのうち社会的に望ましいパレート最適な状態を探してみよう。

パレート最適な状態では「2人ともが刑期が短くなり同時にハッピーになるようなことは起こりません」という状態だった。つまり「2人とも、同時に刑期が短くなるような可能性はありません」であり、「今いる点より右上に点はありません」という状態がパレート最適なのだ。これをグラフで探してみよう。

すると、パレート最適は次の赤丸の3つであることがわかる。

41

2人とも黙秘をしている場合や、一方が自白し一方が黙秘をしている場合は、その状態より右上に点がない。つまりパレート最適な状態なわけだ。

では、2人とも自白をしている状態は、というと、2人とも黙秘をしているという状態が矢印のように右上にある。

42

つまり、2人ともが合理的に行動した結果である「2人とも自白をする」という状態は、パレート最適ではないのだ。つまり、「2人にとっては、望ましくない」結果になっているわけだ。