統計編 不治の病、羽田シンドロームを起こす羽田菌!?

ある地方では、その昔、不治の病である羽田シンドロームという病気がはやって困っていた。そんなおり、ある医療機関が調査のすえ「羽田シンドロームを発病してしまった患者の全員から羽田菌という菌が発見される」ということを突き止めた。

そこでこの医療機関は、次の通り研究結果を発表した。

「世紀の大発見、羽田シンドロームの原因となる菌を発見!」

しかし、この発表は正しくなかった。その後、調査を少しだけ進めると、「羽田シンドローム患者以外の人すべてからも羽田菌は発見された」ということが判明した。

つまり、もともとすべての人に羽田菌がいるにもかかわらず、羽田シンドローム患者のみに羽田菌がいるかのように誤解してしまったのだ。これは、すべての人にある偏りを、さも調査した一部の人だけの偏りのごとく勘違いしてまったことで起きた間違いだ。

同じようなダマシは、プロ野球選手や芸術家の中では長男や長女が多い、といったたぐいである。次男次女、三男三女は、長男長女がいないと生まれることはできないので、当然ながら長男長女の方がもともとの数が多い。芸術家だろうが、野球選手だろうが、サラリーマンだろうが、長男や長女の数は次男や次女、三男や三女より多いということは、当然の結果でしかないのだ。