ゼロサムゲームの最善戦略

株式市場の本質に限らず成熟した市場の多くはゼロサムになっているし、多くのスポーツもゼロサムの状況だ。

ゲーム理論ではこのような状況をゼロサムゲームとして扱う。囚人のジレンマと同じく、同時ゲームのひとつだ。

では、ゼロサムゲームにおいて、どのように戦うのがいいのだろう?それを知っていれば、株式投資、経営、そしてスポーツにおいても、うまく立ち振る舞うことができる。

難しい証明や、確率論は置いておき、ここでは答えを述べていこう。ゼロサムゲームにおいては、「自分の利益を追求し、勝ちを追求する戦略」は、実は望ましくない。ではどうしたら良いかというと、「自分ができるだけ損(失敗)をしないようにする」という戦略が、ゼロサムで勝つ秘訣だ。

つまり、株式投資やFXで、数百万の資産を何億にしよう!などと通常ありえない利益を前提にすることは、実は論外なのだ。ボクシングでも、絶対に自信のある得意な右ストレートばかり繰り出していると、そのうちカウンターをあわせられてしまう。

自分の都合の良い結果だけを想定したり、最も効果が高そうなものだけを振り回す、というだけで成功しないのが勝負の世界だ。相手がいる状況で、自分の事しか考えてない状態ではうまく立ち回ることはできないのは、ゲーム理論の本質だ。

では、「自分ができるだけ損をしないようにする」という戦略はどのような考えなのだろう?ゼロサムの状況では、「自分が得をすれば相手が損をする」ので、実はこれは「相手にできるだけ得をさせない」とも言える。これは、自然と、相手のことを考慮しているわけだ。

この「自分ができるだけ損をしないようにする」という戦略をミニマックス戦略という。最悪な状態(ミニ)をできるだけ良くする(マックス)戦略を選ぼう!そうすると良い結果になりやすいというわけだ。これを言い換えれば、相手の最高の状態(マックス)をできるだけ悪くする(ミニ)戦略を選ぼう!と言いかえることもできる。これをマックスミニ戦略と言い、本質は同じだ。

ゼロサムの状況においては、できるだけ相手の勝ちを減らし、自分の損失をいかに減らすかを意識すると、結果として自分の利益が大きくなる。

「いかに敗北した時の損失を最小限にとどめるか」ということを念頭に考え、最高の結果を目指して取らぬ狸の皮算用をするのではなく、しっかり地道に相手への対策をする方が、良い結果をもたらす、ということは覚えておこう。