合理的に合理性を捨てる~チェーンストアパラドクス1

今までは、相手が合理的に判断するということを想定してきた。しかし、時には合理的に、合理的な選択肢をわざと外すということも考えられる。そういった例にチェーンストアパラドクスというものがある。

スーパーや家電店、さらにはレストランにラーメン屋までチェーン店は数多く存在している。大手チェーン店の場合事前にしっかり調査をするため、チェーン店が存在している場所は、集客性に魅力がありお客が集まりやすい。では、チェーン店が新規にできたとき、地元企業は、その立地条件の良さを見越して、その場所の近くに参入するのがいいのだろうか?という話だ。田舎にできた餃子の王将の横に、自家製の餃子屋を開業するか?といった感じである。

チェーン店ができた場所に地元の同業種の企業が参入すれば、大手チェーン店は、価格や広告費などで地元企業と競争するか、それとも競争せずに共存するか、を決定する。地元企業が参入しないのならば、何も起こらない。

もし、チェーン店が競争してきたら、価格は下がり、費用もかかるのでチェーン店の利益は大幅に減ってしまう。そして地元店は、知名度・資金力ともに劣っており赤字になってしまう。

もし、チェーン店が共存してきたら、チェーン店と地元店がお客を分け合う形になるが、チェーン店のほうが知名度は高いのでシェアが大きい。(食べログなどがはやってから、最近は必ずしもチェーン店が知名度で勝ちやすいともいえないのだ、ここではこのように思ってほしい。)

この状況が次のようになっているとしよう。

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これをバックワードインダクションで解くと、次のようになる。

地元店が参入してきた時、チェーン店はお互いに競争して泥沼の戦いをするよりも地元店と共存した方がいい。(700>300)

地元店は、参入する場合、チェーン店は共存することが合理的なので地元店の利得は300。参入しなかったら何も起こらないので0。よって参入した方が良いことが合理的にわかる。

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つまり、バックワードインダクションで合理的に考えた結果、大手のチェーン店ができれば、そこの立地条件を見越して地元店はどんどん参入すれば良いということになる。どうせチェーン店は競争を仕掛けてこないので、地元店はうまく利益を上げることができるわけだ。しかし、果たして現実はそうなっているだろうか?