統計編 軍人の方が市民より安全だ!?

ある戦争時、アメリカ海軍の死亡者は1,000人中10人だった。一方、ニューヨーク市民の死亡者は1,000人中15人だった。

つまり、海軍の死亡率は1%だが、ニューヨーク市民の死亡率は1.5%で軍隊の死亡率を上回っているというのだ。もちろん、調査に誤りはない。

そこで、人手不足に困っていたアメリカ政府は、次のように広告を出した。

「危険な街に住むより、安全な軍隊へ!」

さて、安全に過ごしたい人は海軍に入った方がいいのだろうか?

答えはもちろんNOである。

よくよく考えると、ニューヨーク市民には調査対象に入院患者や老人など、死亡率が高い人も含まれている。

一方、軍隊はそもそも若い人が多く、健康かつ頑丈な人ばかりで構成されているので、戦争がなければ死亡率はほとんどゼロに近いはずである。それにもかかわらず、軍隊では1,000人中10人も死んでしまうなんて危険だ!と考えるのが正しい。

本当に市民と軍隊のどちらか安全かを比べたいのなら、健康かつ頑丈な若いニューヨーク市民の死亡率と比べなければいけないわけだ。

このように、調査対象が違うものを比較するのは、そもそも意味がない。しかし、一見それっぽく見えやすいので、この手のダマシは非常に多い。