NHK料金が払われない理由~フリーライダー
・NHK料金が払われない理由~フリーライダー
フリーライダーとはただ乗りという意味だ。経済学では「公共財」という財やサービスを考える時にフリーライダーの問題が起きてしまう。
公共財とは、日常の使うような公共の物という意味ではなく、「非競合性、非排除性という2つの性質を持つもの」をいう。言葉は難しいが、非競合性=「誰が使っても減らない」、非排除性=「特定の人には使わせないということができない」というイメージだ。
公共財の簡単な例は「街灯」だ。街灯の光を誰が利用しようが減らないし、街灯の光をお前は利用するな、ということもできない。他には国防やTVの電波、広い道路や公園なども公共財だ。
さて、NHKの電波は公共財だ。誰が受信しようが減らないし、料金を払わないからといって特定の家だけ受信不能にすることもできない。ここで、NHK料金が払われない理由を囚人のジレンマを使って考えてみよう。
ここでは、国民がA、Bの2人だけと考えてみよう。
2人ともが料金を支払うと、どちらもNHKの番組を見ることができる。
1人が料金を支払い、1人が支払わない場合はNHKがやっていくために2倍の料金が必要となる。番組はどちらも見れるがそれなら払わない方がましだ。
2人ともが料金を支払わないと、NHKは収入がなくなり、番組の質が落ち、最悪潰れてしまう。2人とも良い番組が見れなくなり困ってしまう。
すると、相手が支払う時は自分だけ支払わずにただ乗りした方が得だし、相手が支払わない場合は、相手の料金まで払うくらいなら見ないほうがましだ。という具合に支払わないことが支配戦略になってしまう。
現実でも、NHKの受信料を払わなかったからといってNHKの番組が見ることができなくなるようなことはないし、支払ったからといって特典があるわけでもない。このように、ただでさえ囚人のジレンマ的な状況に加え、不祥事があるわ、放送は国民放送らしくないわ、という状況であるのであれば、「支払わない」という選択をする人が多いのもうなずけるかもしれない。