囚人のジレンマで裏切りを防ぐ~秘訣集3

3.コミットメントを使いゲームを変える

この方法は、同時ゲームというゲームの構造自体を変えてしまう方法だ。

これは、お互いがまだ協調して裏切っていないときに、「君が裏切ったら、すぐにこちらも裏切りで対抗する。でも、こちらからは絶対に裏切らないよ。では、後はご自由に。」という内容のコミットメントをする方法だ。

「キミがこうしたら、僕はこうする。キミがこのままなら僕は裏切らない。」という具合に結果を限定し、相手に両者が協調する状態か、それとも両社が裏切る状態かを選ばせるだけのゲームにしてしまうわけだ。

当然ながら、囚人のジレンマの状況では、両者が裏切っているより、両者が協調している方が利得が大きいので、うまく協調を引き出すことができるわけだ。

ただし、これは、いかに「自分は、あなたが協調している限り裏切りません。」ということに信憑性があるかにかかっている。何故なら、相手が協調しているとき、自分が裏切った方が得だということは、お互いわかっているからだ。そんな状態でも信頼してもらえるほどの信頼性は次のように確保する場合が多い。

・過去裏切らなかったという実績やそれに対する社会的評判

・信頼できる第三者による評価

・罰金、違約金、担保

過去裏切らなかった人であれば、同じコミットメントでも裏切らないという信憑性は増えるし、他の信頼できる第三者が「この人は大丈夫です」といった場合も信憑性は増える。そして、もし裏切ったらこのお金は払います、という制約を自分だけに課すことでも裏切らない信憑性は増えるわけだ。

なお、このゲームを変えるということは、発想を変えればうまく裏切らせる方向に活用することもできる。例えば、警察が自白しない容疑者に「おまえの仲間はもう自白したぞ」と迫ってしまうのだ。そうすれば今度は「自分も自白した方がまだましだ」という状況に相手を陥れることができる。

3つの解決策を見てきたが、場合によってはこれら3つすべてを使える囚人のジレンマの状況もあれば、ひとつしか使えないような状況もあるだろう。しかし、解決策の要素や考え方を身につけておけば色々な場面に適用は可能だ。