コラム3 分散投資とドルコスト平均法

株式投資で損失を最小にするためのひとつの戦略が「損切り」であった。

ここではさらに2つ、分散投資とドルコスト平均法という投資法を学んでおこう。

まずは分散投資だ。

AとBという2つの株式に投資をすることを考えよう。どちらも現在の株価は5万円で、Aは輸入しての販売が主体の企業、Bは輸出主体の企業である。どちらも成長中の企業だ。

しかし、輸出入が主体なので業績は円高・円安の影響を受けてしまう。円高になると輸入する価格が下がり、輸入企業に有利になり、輸出企業には不利になる。円安は逆だ。将来が円高になるか円安になるかの確率は、それぞれ50%だとしよう。

円安・円高の場合の、A・Bの株価の推移をそれぞれ次のように予想したとしよう。

円高になった場合:A:5万円→6万円、B:5万円→4.5万円

円安になった場合:A:5万円→4.5万円、B:5万円→6万円

今10万円を株式に投資しようとしている。ここで、どのように投資するのがミニマックス戦略の考え方を踏まえているのだろう?

次の3つから選んでみよう。

① Aを2株購入

② Bを2株購入

③ AとBを1株ずつ購入

答えは③だ。円安、円高になった場合に10万円がどのようになるかの各結果を下にまとめてみた。

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ミニマックス戦略は「損失を最小限にする」が本質だ。Aのみ・Bのみの場合、円安・円高の結果によっては損失を負ってしまう。しかし、AとBを購入した場合、円安・円高どちらでも10.5万円を得ることができる。つまり、最悪な状態を一番良くする戦略は③というわけだ。

もちろん、100%利益が出るといううまい話はないが、うまく銘柄を組み合わせて投資をすると「損失の振れ幅が小さくする」ことができるわけだ。このように複数の銘柄に分散投資することを、ポートフォリオを組むと言われる。もちろん、株だけではなくて、現金、債券、不動産、外貨など時勢にあうようにうまく資金を配分することが望ましい。

次にドルコスト平均法だ。

これも、リスクを抑え最大の損失を小さくするための、王道である。

ドルコスト平均法は、「これを買おう」と決めたときに、一度に一気に買うのではなく、一週間や一ヶ月ごとに、同じ金額ずつ、徐々に分けて購入するという投資法だ。積立貯金の株式投資バージョンである。

これが優れている点は次の2点である。

・株価が上がれば、現在保有している株式で利益が出る

・株価が下がれば、元々買おうとしていた金額でより多くの株数が手に入る

ドルコスト平均法には、同じ銘柄を買うタイミングを分散し、リスクを減らす効果があり、また、買うという判断をその都度行うため、仮に判断が間違っていた場合でも、当初より小さなリスクで撤退することができるというメリットがある。

特に、株価が下がった場合、仮に一度に一気に買ってしまうと下がった場合の損失は大きいが、少しずつ買っているおかげでもし失敗だと損切りをする場合でも小さな損失で済む。また、株価が下がっても買いだと判断する場合には、同じ金額で当初の予定より低い株価で投資することができるわけだ。

逆に、株価が上がってしまうと、一度に一気に買ってしまうと場合と比べ、利益は小さくなってしまうが、一定の利益は確保できているというわけだ。

これも、損失の際にメリットが大きく、損をした場合に着目した投資法のひとつとも言える。

このように、上がった時のことよりも、下がった時のことをしっかり考えていく戦略はゼロサムゲームでは重要なのだ。