相次ぐM&A…企業合併の本質は?
近年、M&Aという言葉を以前に増してよく耳にするようになった。
テレビに出てくる頻度が極端に増えたのは、2005年のライブドアがニッポン放送を買収しようとした時からという印象だ。
そのせいか、M&Aというと「企業の乗っ取り的な買収」という意味だと思っている人は意外と多い。
しかし、これは間違いである。M&Aとは「Mergers and Acquisitions」の略で、直訳すれば合併、買収のことだ。企業の敵対的な買収だけではなく、友好的な合併も含まれており、さらに言えば、広く提携まで含めた言葉として使われることもある。
そのため、一言でM&Aといっても今は懐かしの「ライブドアとニッポン放送のような買収劇」だけではなく、様々な状況がある。経営が苦しくなった銀行などが次々と合併し、協力するのもM&Aだ。いすゞ自動車とゼネラルモーターズも一時期は資本と業務で提携していたが、これも広い意味でのM&Aだ。このように例を上げればキリがない。
このように様々な状況があるM&Aだが、本質的な共通点がある。それは「お互いが納得してM&Aをする場合には、M&Aをした方がお互い得する。」ということだ。金融機関は合併することで規模が大きくなり経営基盤が安定し、扱う商品が多様化して顧客の要望に答えやすくなる。業界を超えて業務提携をすれば、お互いの技術を持ち寄ってより良いものを作ることもできる。要は、1+1>2というイメージだ。
このように、お互いが協力した結果、別々な状態より良い結果が生まれることがある。これをシナジー効果(相乗効果)と言う。シナジー効果により、お互いが協力することで、1+1=3になれば、増えた1を分ければ、お互いが得をすることができる。これがM&Aの本質のひとつというわけだ。
増えた1の分け方は、半分ずつの0.5と0.5でもいいし、0.1と0.9でもいい。どのように分けたとしても、今までよりお互いが得をすることができる。