左靴職人と右靴職人の争い~利益を捨てて利益拡大1
今までは、抜け駆けされないような状態であるコア、そして、貢献度や影響力のシャプレー値に考え方や使い方を見てきた。
ここでは、これらを活用する話を見ていこう。
ある街に、左靴職人が10人、右靴職人が1人いる。左靴職人は左靴を1人1足ずつ保有しており合計10足の左靴がある。一方、右靴職人は右靴を10足保有している。
左靴職人と右靴職人は、それぞれの靴を合わせて1万円で販売し、この1万円をどう分けるかで毎年交渉していた。
例年、慣習もあり、毎回の交渉も面倒なので、1足の売上である1万円を5,000円ずつ平等に分けるように決めていた。
しかし今年はなにやら事情が異なっているようだ。
右靴職人「おや、どうしたんですか?左靴職人のみなさん。こんなに集まってもらって。」
左靴職人達「えぇ……。ところで、右靴職人さんの取り分は今年からは3,000円でいいですかね?」
右靴職人「え?今まで5,000円だったのに。また急にどうして??」
左靴職人達「いやいや、だって私達の左靴がなければ靴の販売なんてできないわけじゃないですか。私達がこの靴をあなたに渡さないと、そもそも靴が売れないわけであなたは0円でしょ?それなら3,000円の方がいいじゃないですか。しかも、あなたは1人で10足も売れるんだから。」
どうやら、左靴職人が10人で結託して右靴職人に値引きを迫っているようだ。もちろん右靴職人も言い返す。
右靴職人「そんなこと言ったら、あなたたちも私の靴がなければ0円じゃないですか。立場は何も変わらないでしょう?」
と、議論は平行線をたどっているようだ。
ところで、現在の状況では、コアは多数ある。
左靴職人も右靴職人も立場が同じで、お互い、相手の靴がなければ利益がだせず、抜け駆けも起こらないため、影響力は変わらないからだ。折り合いが付けばそこで、という具合にならざるを得ないので、結託を組んで多人数で迫っている左靴職人の方が有利なのかもしれない。