わざと断る!?思わせぶりな嘘が効果を呼ぶ時1
ちまたの駆け引きの本や心理の本などには「必要がないようであれば、無理に買って頂かなくても結構です。」と営業先にわざと断って興味を引いたり、「気になる相手からのデートの誘いも、断ってみる」といった駆け引きを目にすることもある。
これらの共通点は、嘘をつくことで主導権を握ろうとしていることである。
もちろん、予想通り主導権が握れ、売上が伸びたり、仲が良くなることはあるだろう。しかし、予想に反して「じゃあいりません。」と断られたり「じゃあもうデートは誘わないよ。」と言われてしまうことも起こりうるだろう。この差は何なのだろう?「主導権を握れるのか、はたまた、失敗するのか」の差を知ることができれば駆け引きがもっとうまくなるだろう。
ここでは、「どういうときに嘘をつくと効果的か?」をマッチングの問題で見てみよう。
まず、マッチングにおいて「嘘をつくことで得をする可能性のある人」を考えてみよう。つまり、「嘘をつくことで主導権を握れる人」である。
これは、逆に考えると、「嘘をつかなければ主導権を握れない人」である。ゲール=シャプレーアルゴリズムでは告白する側が有利になる、つまり、主導権を握るのであった。つまり、告白される側はウソをつくと得をする可能性があるわけだ。
また、先ほどの合コンの際ののびたとハナザワのような、第一希望同士のカップルはどうだろう?男性から告白しても、女性から告白しても、第一希望同士という結果は変わらない。そんな彼らが、ムダに嘘をつく必要がないことはわかりやすいだろう。
このように、第一希望同士ではなくとも、「男性から告白した場合、女性から告白した場合、どちらでも同じカップルとなっている人は、嘘を付いても得をすることはない」ということが数学的に証明されている。
このイメージは、今にも買ってくれそうな人に「無理に買っていただかなくても結構です」と余計なことを言っているようなものなのだ。