確率編 ロシアンルーレットで生き残れ!
今あなたは相手とロシアンルーレットで対決中、負ければ死んでしまう。
しかし、今回のロシアンルーレットは少し趣向が違っており、弾丸が次のように、6つのうちに2つに連続して入っている。
しかも、交互にどんどん打ち合うのではなく、自分の番のたびに「相手が打った状態のまま打つ」か「ホルダーを回転し、やり直して打つ」か、を選ぶことができるのだ。
先手は相手。引き金を引く…カチッ…どうやら大丈夫だったようだ。
そのまま銃があなたに渡された。あなたは「そのまま自分に向かって引き金を引く」か「ホルダーを回転してから、自分に向かって引き金を引く」か、どちらか選ぶことができる。少しでも死にたくないので、冷静に、次のように、どちらが死ぬ確率が低いかを考えてみた。
今は相手が外したばかりなので、5つのうちに2つの弾丸が入っている状態だ。このまま打てば、死ぬ確率は2÷5で40%。
一方、ホルダーを回してやり直せば、初めの状態に戻る。すると、6つのうちに2つ弾丸が入っている状態なので、死ぬ確率は2÷6で33%だ。ホルダーを回転してやり直した方が、死ぬ可能性が低いな、よし!
さて、この考えは本当に正しいのだろうか。結論から先に言うと、実はやり直さない方がいい。ちょっと詳しく見ると、トリックがわかってくる。次の図のように番号を振ってみてみよう。
相手が外したということは、相手が撃った場所は1,2,3,4のどれかで、矢印の方向にひとつ回転している。この状態でそのまま打った場合を考えると、もし相手が撃った場所が4だと5を打つことになるのであなたは死ぬが、1だった場合は2、2だった場合は3、3だった場合は4を撃つことになるので生き延びることができる。つまり、死ぬのは4つのうち1つであり、確率は1÷4で25%なのだ。
ホルダーを回転し直してやり直すと、死ぬ確率は33%なので、つまり、そのまま打った方が、当然ながら死ぬ確率は低い!
この考え方を数学で言うと条件付確率だ。コイントスで表が4回続いたとき、「表が5回連続で続く確率は1/2の5乗で大体3%くらいだし、そんなことはそうそう起きないだろう!」と裏に賭けて負けてしまうのと本質は同じだ。つまり、今まで4回連続で表だからといって、当然ながら、次に裏になる確率が増えるわけでも、また、減るわけでもない。
これは、中途半端に確率を知っている人が騙されやすいパターンのひとつである。「そろそろ裏が出なくてはおかしいのに・・・こんなに表ばかり続くなんて・・・」という具合に、冷静さを失ってハマっていくことは、ギャンブル以外にも当てはまることが多いだろう。
「現在自分が置かれている状況で物事を考える」ということが、まずは重要だ。