確率編 良成績でベンチ落ちした野球選手
プロ野球の監督が、ある2人の選手AとBをどちらにスタメンにするか悩んでおり、オープン戦で通算の打率が良いほうを開幕スタメンにしようと決めた。さてオープン戦も終わり、2人の成績次のような結果になった。
対 右投げ | 対 左投げ | |
Aの打率 | .250 | .500 |
Bの打率 | .200 | .400 |
監督はこの数字を見たが「開幕スタメンはBでいく」と結論付けた。対右投げ、対左投げともに成績がよかったAは「自分の方がスタメンに選ばれるべきだ!」と主張したが、監督は「通算の打率が良いほうをスタメンにしただけだ!」と、Aを一蹴した。
対右投げでも、対左投げでもAの方がBより打率が高いし、そんなことありえないだろ!と思った人は、騙されやすい。
実は、AとBの成績は次の通りだったのだ。
<Aの成績>
右投げ:24打数6安打の打率.250 左投げ:6打数3安打の打率.500
<Bの成績>
右投げ:10打数2安打の打率.200 左投げ:20打数8安打の打率.400
すると、トータルの打率は次の通りであり、Bの方が高いことがわかるだろう。
A:30打数9安打の打率.300
B:30打数10安打の打率.333
このように、全体の数字を分解して表示することで、都合のいいように数字を操作できる可能性があるということは覚えておこう。上場会社の決算で、毎回セグメントを変更して数字開示しよく見せようとしているケースなど、程度は違えど存在している罠である。