後ろから先を読むバックワードインダクション
相手の立場になって、相手の行動考えることが重要だといっても、方法を知らなければなかなか難しい。交互ゲームでは、相手の行動の先読みにはバックワードインダクション(後方帰納法)という方法を使う。バックワードインダクションは最後の結果から「この人はこうするだろうな、だからその前は…」と考えていく方法だ。
それでは、しあわせトランプの話を考えてみよう。この話の最後の結果は、ジョーカーが1枚だけ残る場合だ。そうなるとその人が不幸になっておしまい、話はそれ以上続かない。
では、そこから遡って考えてみよう。
最後1枚のジョーカーだけになる直前の、2枚のトランプを受取ってくれる合理的な人はいるだろうか?受け取ったら、その人のところにジョーカーが残るので、受け取ってくれる人はいるはずもない。
では、2枚になる直前の、3枚のトランプを受取ってくれる合理的な人はいるだろうか?1枚余裕があるので、いける気もする?しかし、受取ったら、ついさきほど見たように、2枚のトランプを次に受取ってくれる人は誰もいないことがわかっているので、自分が不幸になってしまう。つまり2枚になるカードも受取ってくれる合理的な人もいないだろう。
では、3枚になる直前の、4枚のトランプを受取ってくれる合理的な人はいるだろうか?それを受取ったら、今みたように3枚になるカードを受取ってくれる人はいないのだから、誰にも渡すことができない。つまり、4枚になるカードを受取ってくれる人もやはりいないのだ。
では、4枚になる直前の、5枚のトランプを受取ってくれる合理的な人はいるだろうか?先ほどみたように誰にも渡せないのでもちろん受取ってくれない…。
という具合に、どんどん続けていく。
では、52枚のトランプを受取ってくれる合理的な人はいるだろうか?いやいない、では、あなたは53枚の新品のトランプを受取るべきなのだろうか?
答えはNOだ。
このように、他の人の行動を読むことで、しあわせトランプを受取ってしまったら誰にも渡すことができず自分が不幸になるという結果を予想でき、最善の行動「受取らない」を決定できるわけだ。