しあわせトランプとマネーゲーム
先ほどのしあわせトランプの話は、「すべての人が合理的」で「みんなそれがわかっている」場合には、受取らないのが正解だった。しかし、例えば、現実世界では、非合理な人は多いし、相手が合理的かどうかもわからないこともある。
このような場合には、非合理な人に押し付けることで自分は願いをかなえることができるので、受け取ることも視野に入ってくる。ドラえもんの話では、このカードは次々と人の手に渡っていき、多くの人が幸せを掴むことができた。これは合理的でないプレイヤーが混ざっていた結果である。
実は、これととても似た状況が現実に存在している。それはマネーゲームだ。
例えば、倒産して上場廃止を待つだけの価値のない会社の株価が、マネーゲームによって上がっていく現象はよく目にすることができる。このような株は価値がないので、最後に持っていた人がすべてを失うのだが、しかし「他に高く買う人がいるから今は買うんだ」という考えで株価が上がっていくわけだ。
しかし、いつまでも価値がないものにお金を払ってみんなが買い続けるということは考えにくい。結局は合理的ではない人にも価値がないことがばれてしまい、押し付ける人がいなくなる。
倒産株のマネーゲームは上場廃止が近づくに連れて、しあわせトランプも枚数が減ることによって、多くの人が本来の価値と、最後の結果の危険性に気付いていき、最終的には最後まで気付けなかった誰かがババを掴んでしまう。
すべての人が合理的なら先ほど見たように誰も参加しないのが正解なのだ。そして、そのような考え方を知っておかないと、想定外の痛い目を見る恐れもあるということだ。
さて、次からは企業の話に移っていく。次からは、より詳しくバックワードインダクションを使うので、考え方を見ていこう。
・バックワードインダクションを使って相手の行動を先読みする
・バックワードインダクションでは、終わりの方から行動を読んでいく