2人が陥った囚人のジレンマ~イメージ編

かくして警察は機転により、うまく2人両方から自白を得られた。証拠もそろっていないのに何故2人して自白してしまったのだろう。そのインセンティブを探っていこう。まずは先ほどの状況を少し思い出してみよう。

・自白をすると、相手がどうであれ自分の交通事故の刑(懲役2年)は完全に免除される。

・加えて、自分が自白をし、相手が自白をしない場合には、相手が主犯となり自分の窃盗の刑(懲役10年)も免除される。

・お互いが自白をしなければ、証拠もないし、お互い交通事故の刑だけですむ。

つまり2人の刑期は次のようになる。

パターン1 2人とも自白をした場合

刑期 ルパン:10年 次元:10年

交通事故はお互い免除されるが2人とも窃盗に問われてしまう。それぞれ懲役10年となる。

パターン2 2人とも黙秘した場合

刑期 ルパン:2年 次元:2年

証拠不十分により窃盗には問われない。しかし交通事故は免除されないのでそれぞれ懲役2年。

パターン3 片方が自白、片方が黙秘した場合

刑期 自白した方:0年 黙秘した方:12年

自白した方は、交通事故が免除されるし、黙秘した方が窃盗の主犯になるのですべて免除される。黙秘した方は、窃盗の主犯にされる上に交通事故も免除されないので合わせて懲役12年。

この状況をまとめると次のようになる。

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単純にこの表だけを見ると、2人とも黙秘するのが当然のように思えるかもしれない。しかし、2人とも自白してしまったのだ。しかも、これは、お互いが合理的に行動した結果であった。

しかし、どう考えても、2人とも自白するよりは、2人とも黙秘した方が、刑期が短いことは誰でもわかる。それにもかかわらず、合理的に行動したのに悪い結果にはまってしまっているのだ。

この、ルパンと次元のような状況を囚人のジレンマという。それでは、何故、頭がキレ、合理的なルパンと次元が自白にいたったのか、聞いてみよう。