デフレを生み出す囚人のジレンマ1
懐かしい話ではあるが、2006年に日銀の量的緩和が解除された。日本は1991年のバブル崩壊後「デフレスパイラルという悪循環に陥った」と言われており、耳にしたことがあるかもしれない。
デフレ(デフレーション)とは物価(モノの値段全般のこと)が安くなることであり、デフレスパイラルとはデフレと不景気が繰り返される悪循環のことを言う。デフレスパイラルのイメージは次のような感じだ。
『バブル崩壊→株価や地価の大幅下落→個人や企業で資産の価値が減少→企業も個人もモノを普段より買わなくなる→モノを売るために値段を下げる→企業業績が悪化する→給料が下がる・雇用が減り失業者が増える→給料の低下によりモノを普段より買わなくなる→売るために値段を下げる→企業業績が悪化する→……』
バブル崩壊後を経験した人なら記憶にあるかもしれないが、確かに当時は色々なものがどんどん安くなっていった。その昔、ハンバーガーひとつ、牛丼一杯にいくら払っていたかを調べてみると、時代の流れを感じてしまう。
このデフレスパイラルの流れが続くと、社会にとって良くないということで、日銀によって2001年に「量的緩和」という政策が行われた。量的緩和とは、簡単に言えばお金の量を増やす政策のことで、お金の量が増えるとインフレ(モノの値段全般があがること)になりやすいため、デフレスパイラルの流れをとめることが期待されていた。
そして、2006年に物価のひとつの指標である消費者物価指数がしばらく上昇したことで「デフレスパイラルは止まったようだ」と判断し、量的緩和という政策を解除したのだった。
さて、このデフレと不況が次々悪循環で起こるデフレスパイラルは、囚人のジレンマのひとつの例でもある。ここでは、モノの値段が下がっていったのかを、企業の価格戦略の観点からゲーム理論で見てみよう。