ミニマックス戦略~株式投資・経営編
それでは、株式投資でミニマックス戦略、つまり「損失を最小限にとどめる」ということを実践するには、どのような方法があるのだろう。
そのひとつに、「損失が現実的に回復不可能になるほど大きくなる前に、損失を止める。」という、損切り(ロスカット・損失確定)がある。
これは、損をしたときに、これ以上損が大きくなる前に、持っている株を売ってしまうことだ。経営で言えば赤字が拡大する前に、赤字事業をさっさとやめてしまうことがこれにあたる。「もしかしたら回復するかもしれないじゃないか」と曖昧にしておくのではなく、損を今の段階で確定させてしまうのだ。
先ほどのケース①(株価が30%値下がりし、その後30%値上がりした場合)で、もし、30%値下がりする途中、10%値下がりした時点、損切りをした場合を考えてみよう。この損失を埋めるにはどの程度の値上がりが必要かというと、1,000÷900≒1.11倍つまり11%の値上がりでいいのだ。
先ほど見た通り、30%の値下がりすべてに付き合ってしまったらもとに戻すのには43%の値上がりが必要だった。しかし、損切りによって43% の値上がり必要だったのが11%でも良くなったのだ。回復のために必要な値上がり率は約4分の1となっている。
ケース①では、その後700円で株価が反転し910円まで上昇したが、750円の時に反転に気がついて株を買い戻したとしよう。すると750→910円は21.3%の値上がりであり、損失を回復してさらに利益が出ているわけだ。同じ値動きでも損切りするか、しないかだけで大きな差が出てしまうのだ。
もちろん、損切りをせずにずっと持っていれば、いつの日か株価が回復する可能性もある。いわゆる塩漬け株だ。そうすれば、一度も損を確定させないで済むのかもしれない。しかしそういう時でも損切りをして安く買いなおしていた方が利益は大きい。
株式相場は確実に予想できるものではなく、どこまでいっても結果論の世界だが、損切りは損失を最小限にとどめるというミニマックス戦略の最たるもので、結果的に利益を増やすということを覚えておこう。