インターネットと広告とテレビのシナジー効果
シナジー効果が生まれれば、そこで生まれた利益を分けることでお互いが得をすることができる。
では、どうすれば大きなシナジー効果を得ることができるのだろう?
シナジー効果は、相乗効果という意味のとおり、お互いがお互いの機能をしっかりと活かし合うことで発生する。「自分は相手の持っている販売網を利用したいし、相手は自分の持っている技術を利用したいと思っている」という関係だと考えればいいだろう。
逆に、全く関係ないもの同士が合併しても「ただ大きくなっただけ。逆に動きにくくなってしまった。はっきり言ってジャマだ」という、逆効果になるケースもある。
1960年台後半のアメリカでは、関連性がなくてもとにかく合併するというM&Aブームが起こっていたのだが、1970年代に入ると、効率化のために合併したものを再度分割するということが進んでいったという事実もある。
M&Aに関連して、日本では長い間テレビとインターネットの融合といったことが叫ばれているが、お互いがお互いの機能をしっかりと生かせるのであれば、シナジー効果は発生するだろう。もし融合が起きれば、テレビ側はインターネットを通じ、自社のコンテンツを広く流すチャネルが増えるし、インターネット側はコンテンツが増えるので利用者が増える。ここにシナジー効果は発生しそうだ。さらに、テレビやインターネットは広告が収入源なので、広告を流す場所が欲しい広告代理店とも相性が良いだろう。
ここで、シナジー効果をイメージするため、次のような例を見ていこう。
今、インターネットのA社、広告代理店のB社、テレビのC社、が合併するか協議している。この3社は合併すればお互いがお互いの機能をうまく活用できるため、ABC3社で合併すればとても大きなシナジー効果を生むことができる。もちろん、AとB、BとC、CとAという具合に2社だけが合併してもシナジー効果は期待できる。それぞれの場合の利益を見積もると次のようになるようだ。
注:A社とB社が合併したものをAB社、B社とC社が合併したものをBC社、C社とA社が合併したものをCA社、三社とも合併したものをABC社とする。
合併する順番をA→B→Cという場合を見てみよう。すると、A社とB社が合併することで、それぞれが単独でいる場合より利益が多くなっている。つまり、55-(5+40)=10億円の利益がシナジー効果によって生まれるわけだ。
さらに、AB社とC社が合併しABC社になる場合にも、120-(55+55)=10億円の利益がシナジー効果によって生まれている。
今は、合併する順番をA→B→Cという順で見たが、どの順番だとしても、3社で合併した時に、最もシナジー効果が大きく、全体の利益が多くなっている状態だ。
シナジー効果が大きいほど、分け前は増えて「お互い得をする」のだから、望ましいのは当然だ。3社で合併するのが最もシナジー効果は大きいことは見た通りだし「じゃあ、やろう!」と、そこまでは話が早い。
しかしそこから、話が進まない。「お互い得をする」のは、シナジー効果によって生まれた利益を分けた後だからだ。合併したといっても、元は違う企業、やっていることも違うのだし、取り分も違って当然だ。増えた利益を「どのように分けるのか?」ということでモメることが多いのだ。