議席は減ったのに優遇される少数政党の謎
シャプレー値は、貢献度だけではなく、影響力や勢力の強さを計ることにも使われる。
ここからは少し話題を変えて政治の話をしよう。
日本の政治では民主主義が採用されていることは有名だ。民主主義は「最大多数の最大幸福」とよく言われる。色々な意見があって全員一致が無理なら、せめて、より多くの人が満足するようにしようという主義で、多数決の原理と言われる。政治以外でも、投票や多数決といった状況に出くわすことは多いだろう。
民主主義では、選挙にしろ、政治にしろ、学級委員を選ぶにしろ、多数派が有利なのは当然だ。
そのため「多くの数を得ている方が絶対に有利なのだ!」「有利になるためには絶対的な数を増やさないと!!」と思うかもしれないし、「どうせ数なんて増えないよ」という少数派は諦めも感じるかもしれない。
しかし、実は、現実はその通りではない。数を増やす以外でも、自分の影響力・勢力を増し、さらには逆転することも可能なのだ。
ここでは次の例を考えてみよう。
ある国では、国会は100議席で構成されている。政党はJ党、M党、K党の3つだ。
毎度のこと、政治がゆれにゆれていて、総選挙が行われることになった。その結果、それぞれの政党の議席数は次のようになったとしよう。
M党は広告戦略がうまくいき大幅に議席を獲得。
J党は若干議席を失ってしまったが、一位の座はなんとか死守。
一方、K党はなんと22→7と半分以下に議席を減らしてしまった。あまりの惨敗に代表は責任問題に問われている。
さて、この結果だが、K党にとって不利な結果なのだろうか?
この結果を見ると、K党は選挙結果としては失敗だろう。しかし、実は、政治への発言力や影響力は選挙前は増しており、J党からもM党からも手厚く扱わることが予想されるのだ。