「はじめに」の答え合わせ
この右靴職人と左靴職人の例と同じ状況なのが、「はじめに」の例だ。
どんな話だったかはページを見返してほしい。
「はじめに」の状況では、販売会社の目の前で、次のように言ってしまえばいいのだ。
「仕方ないですね、それでは今年から2社としか契約しないことにしましょう。」
「より良い条件の2社さんと契約するので、ここで条件を提示してもらえますか?残った1社さんですか?そうですねぇ。申し訳ないですが、潰れてしまうかもしれませんね。だって他に電池を作っている会社はありませんからね。まぁ、仕方ありませんね。」
契約できない会社は、携帯電話の製造ができなくなり、事業が立ち行かなくなってしまう。こうなると「ないよりはマシ」とギリギリの利益で契約する羽目になるだろう。
このように、結託している相手に「抜け駆けしなければまずい」と思わせる状況を作り出せれば、抜け駆けさせ、競争させ、よりよい条件を得ることができるわけだ。
「与えられた状況でどうするのか?」がすべてではなく、もし不利な状況を突きつけられたら、不利な状況自体を変えてしまえないか?という発想がまずは重要だ。
とはいえ、いつでもこのような状況を作り出せるわけではない。もし失敗すれば、「販売先が1社減ってしまっただけ」というバカみたいな結果を生んでしまう。
自分が有利になる状況を作り出す最も大きなポイントは、貢献度を求めるシャプレー値の考え方の基本である「相手が、自分がいないことでどれだけ困るか?」ということだ。
右靴職人であれば、1足燃やして強硬に迫っても、左靴職人に「話もまとまらないし、じゃあ、となりの国から右靴を輸入して仕入れることにしますわ。仕方ないですし。」と言われたら、状況が悪化しているだけだ。
このためにも、自分の貢献度や影響力をしっかりと知る方法が必要なわけだ。