コラム4 コンビニが密集する謎~ホテリングモデル~1

いかに相手よりも自分を有利に進めるか。選挙や経営は勢力争いとも言える。

そういった勢力争いで、ふと疑問に思うことがある。コンビニの立地だ。コンビニは、価格も扱っている商品もほとんど同じで、差別化はほとんどない。立地が勝負の決め手となる。つまり「陣取りゲーム」のようなものだ。

しかし、周りを見渡すと、都内ではコンビニのすぐ近くにまたコンビニという状況は多い。何故コンビニはああも近くに何軒もあるのだろう?と疑問に思わないだろうか。「陣取りゲーム」なら、同じところに立地しなくても、競争相手の少ない端の方に陣取った方が良さそうにも思えてしまう。

この謎を理論的に説明したものに、ホテリングモデルというものがある。協力ゲームの分野ではないが、立地競争を説明したモデルだ。都市経済や産業組織などにもよく応用される。話は簡単なのでちょっと見てみよう。

次のような海岸で海水浴客が集まる季節がやってきた。

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ここに、アイスクリーム屋を開店しようとしているAがいた。砂浜には観光客が偏りなくいるとして、どこに開店するのが最も良いか考えて欲しい。直感で構わない。

答えは、ど真ん中だ。

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理由は、観光客の歩く距離ができるだけ少ない方がいいからだ。遠すぎると「あそこまで歩いていってまで欲しくない」と思われてしまう。

だから、平均的な移動距離をできるだけ短くするような位置、つまり、集客性が高い位置に開店した方がいい。それは、当然ど真ん中だ。

では次の問題を考えよう。

今度は、AとBの2人がこの砂浜にアイスクリーム屋を開店しようとしていた。アイスクリーム屋は開店した後も簡単に移動可能だ。お互いに同じアイスクリームを同じ価格で売るので、立地が勝負だ。では、このAとBは最終的にどこに開店しているだろうか。次の①~③の中から直感で選んでみよう。

①端っこに立地する

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②均等に立地する

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③真ん中に集まる

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